高断熱・高気密だけでは限界がある
2023.06.3
今から約26年前の創業当時から高気密・高断熱住宅を建築し続け約10年が経過した頃、私は新たな課題に直面しました。
それは、住宅を高断熱・高気密化しただけでは住み心地に限界があると感じたのです。
当時私達が建築していた家は、北海道の札幌に本社を置く高性能住宅のノウハウを採用した工法で断熱はウレタンパネル105ミリ、気密レベルも0.5CM2/M2と優れており開口部は樹脂サッシ+ペアガラスでした。
換気は第三種換気を採用していましたが、当時県内で建築されていた住宅の中ではトップクラスの性能を持つ高性能住宅であり、私の自宅もこの工法で建築しました。
当時私はこんな事を考えていました。
「確かに高性能住宅であり夏は涼しく冬暖かいのだけど、何かが足りない・・・」
この何かが見つかるまで数年が経過しました。
その何かとは、床面の温度でした。
当時建築していた住宅の床面の温度は室温と同じか少し低い位だったので、冬でも床板が冷たく感じる事はありませんでした。
しかし、冷たく感じないものの暖かくも感じなかったのが、私が探していた何かだったのです。
「床板が暖かく感じる為には床暖房しかないか・・・」と考えましたが「床下全体を暖めればいいんじゃないのか?」と新しい発想が浮かんできました。
そして、現在建築している住宅造りへ移行したのです。
高断熱・高気密だけでは住み心地に限界があります。
当時の私は一般的な高性能住宅の更に上を目指していたのです。
私は自社で建築した住宅全てに入り、肌で家の性能を感じ取る事を怠りませんでした。
耳で音の反響音を捉え、足の裏や肌で室温を感じます。
息を吸って空気の乾燥度を感じ、鼻から建材の異臭がないかをチェックします。
そして、開口部のガラス面に手を近づけ屋外の温度を察知します。
床板の温度、室内の温度や湿度、開口部からの輻射熱、化学物質の有無などを全身を使って検証します。
すると、「あれ、ここはどうなのかな?」と感じます。
そして、問題点があれば会社に持ち帰り検証し改善します。
こうした検証と改善は創業当時から約26年間継続しています。
今よりも更に上の住み心地の住宅を造る挑戦に終わりはないのです・・・