軒や庇のない住宅
2020.08.7
車で道を走っていると「あの家は軒も庇もないけど、暑くないのかな?」と感じる事があります。
この時期の太陽の日射が直接窓ガラスに当たりサッシが高温になるのはもちろん、暑い日差しが室内に差し込んでいるお宅もあります。
夏季の太陽高度は比較的高いので、軒や庇を設ければ日差しが直接窓に当たる事はありません。
窓に日差しが当たらなければサッシの温度上昇も防げ、室内に入る日差しもカットできます。
しかし、なぜか軒や庇がない住宅は存在するのです・・・
なぜでしょうか?
理由はいくつかありますが、一番の原因は住宅建築業者や設計者がそこに暮らす家族の住み心地を考えていない点にあると予想出来ます。
つまり、見た目を重要視した結果「庇?軒?そんなのダサイからつけないよ!」と設計する訳です。
あるいは、太陽光を考慮せず何にも考えないで設計する設計師もいるかもしれません・・・
私達は、冬至と夏至の太陽高度を計算に入れて軒や庇の設計をしています。
深い軒を出すケースでは、冬季に日差しが室内へ入りにくくなるので、屋根材をガラスにして対応しています。
日本には四季があり、太陽の高さも異なるので太陽高度を念頭に置き設計するのが良いと考えています。
冬季の実験棟の様子です。
窓の上部は日影になっていますが、サッシのガラス部分には太陽の光が当たっています。
この太陽の日射は室内の奥まで入り暖房効果を得られるパッシブ設計になっています。
もちろん夏季は軒の出があるので、日差しをシャットアウトしてくれます。
住宅では裏方である軒や庇ですが、住み心地と直結する強力な力を発揮しているのです・・・