どんな住宅を造るべきか?
2020.04.1
起業して間もない頃のお話ですが、お付き合い下さい。
平成8年にオカケンホームを設立しましたが、当時はハウスメーカーの下請け大工でした。
いくつかのメーカーの大工工事だけを請け負う日が続いていましたが、ある日仕事をいただいていた会社が倒産したのです・・・
衝撃的な元請会社の倒産による未収金により打撃を受けた私の会社に追い打ちをかけるような出来事が立て続けに起きました。
トラックのエンジンがダメになり、トラックを購入しなければならない状況になったのです。
さらに作業場にある木材を加工する機械も2台故障し購入する事になりました。
大工手間の未収金が250万円、トラックの購入に350万円、加工機械の購入に約400万円で合計1000万円のお金が一瞬で私個人の通帳から消えてしまいました。
この1000万円という大金は、私が18歳から25歳までの現場監督時代にコツコツと貯金していた大切なお金だったのです・・・
今まで稼いで貯金していたお金も底をつき、貯金ゼロからのスタートです。
もちろん、住宅を受注出来るようなコネもなし、営業するノウハウもなし、お金もなしの状態からスタートした訳です。
当然ですが、住宅を建築した実績もないので受注が出来る訳がありません・・・
私は来る日も来る日も知り合いの所に行き「誰か住宅を建築する人はいませんか?」とマッチ売りの少年にような日が3か月間続きました・・・
ある日、知人から「住宅を建築する人がいるから紹介するよ!」と連絡がありました。
3か月の努力が実りご紹介いただいたお客様の住宅を建築する事になったのです。
私はこの時期にどんな住宅を造るべきか?を時間をかけて考えていたので、このお客様の住宅は高気密・高断熱の住宅を提案しました。
そして、1棟目である断熱性能の高い住宅の施工が始まりました。
つまり、創業当時から断熱性能の良い住宅を造っていたのですが、当時は高性能住宅の認知度は低く、受注するのに困難な状況は数年続いたのです・・・・
あれから23年・・・今では高性能住宅がスタンダードになる時代になりました。
もしも私がデザイン重視の住宅を建築していたとしたら、今のオカケンホームは存在しなかったかもしれません。
当時の私にあったのは、燃えるようなやる気しかありませんでした。
何にもなくても燃えるようなやる気があれば何とかなるものです・・・
しかし、またあの体験をしたいか?と聞かれれば、答えはNOです。
ピンチのどん底から這い上がってきたからこそ、今の状況がどうであろうと何事にも感謝出来るのです・・・