断熱等級の盲点
2024.12.28
住宅の断熱性能を示す指標について品確法で定められた断熱等級というものがあります。
断熱等級は「冷暖房にかかる一次エネルギー消費量をどれだけ削減できるか」をもとに分類されており、等級が高くなるほど、住みやすく地球にやさしい住宅であることを示します。
外気の影響を受けにくい構造にすることで、ヒートショックのリスク軽減、節電・節約につながるなど、住みやすい住宅には欠かせない対策です。
とあります。
ちなみに等級は下図の通り無暖房~等級7まであります。
ということですが、この等級は全国の地域を1~8に分けて、そこでUA値がどの位かで等級が決まります。
ちなみに高崎市は5地域(一部は4)になりますが、基準値とするとUA値で0.87となります。
当社で造る家については形状や大きさや仕様などによって多少の違いはありますが、概ね0.4~0.45W/(㎡K)となります。
そうすると、5地域の場合は断熱等級6~7の間という事になります。
ちなみにUA値とは外皮平均熱貫流率のことで、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。
つまり、熱損失の合計を外皮等面積で除した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
冒頭の断熱等級の説明にもあった通り「等級が高くなるほど、住みやすく地球にやさしい住宅であることを示します。」ということですが、実は盲点もあります。
住宅は高断熱化しないよりはした方がもちろん良いのですが、それだけでは住みやすい住宅にはなりません。
例えば下記の様な要件は断熱等級に関係はありませんが、住み心地にとても密接に関係してくるところです。
・南面に適切に庇を設ける
→夏の日差しをカットし冬の日差しのみ取り入れる
・南面のサッシは遮熱タイプではなく断熱タイプとする
→せっかくの冬の日差しを遮熱タイプでは室内に十分取り込めないが、ととんどの住宅は全面遮熱タイプを採用
・基礎の立上り、耐圧盤の厚みが150mmありなおかつ一体打ち工法
→本来は120mmあれば良いのですが、厚みを上げる事で強度と断熱性をアップし
なおかつ一体打ちなので気密性も良い
・基礎は立上り以外にも外周部450mmまで断熱材を貼ってある
→等級には関係ありませんが、基礎床面にもしっかりと断熱材を施工してあります。
・壁、天井の内側に適切な通気層を設ける
→通気層がある事で熱がこもらず夏も快適に過ごせる
※外側には通気層を設ける事が多いが内側にも設けている会社はほぼない
などなど、この他にも上げればきりがないくらいあります。
断熱等級は住み心地の良い家を造る為の要件の1つに過ぎないので、こだわり過ぎは良くないかもしれません。
断熱等級が7だから住み心地が良い家だ!と決めつけてしまうのは注意が必要です。
当社の家は見えない所で「めんどくさい」事をたくさんやっています。
しかし、その1つ1つすべてが住み心地アップには欠かせない造り込みなのです。
tanaka