市街化調整区域に家が建つ!!
2019.09.15
土地を探そう!と思ったら、まずどんな土地が良いかエリアや広さの希望が出てくると思います。
誰でも、安くて広い土地がいいですよね。
そんな方は、市街化調整区域を意識して探してみるのも良いかもしれません!
不動産会社や建築会社に紹介された土地の資料を見ると、都市計画という欄に、市街化区域もしくは市街化調整区域、田舎のほうに行くと非線引き区域という文字が書いてあると思います。
今回は、購入されるお客様が多い、市街化区域と市街化調整区域の違いを少し書きたいと思います。
都市計画法第7条には、
市街化区域・・・すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
市街化調整区域・・・市街化を抑制すべき区域とする。
とあり、以前は基本的に市街化調整区域に家を建てることはできませんでした。
(分家住宅等例外あり)
では、今なぜ当たり前のように市街化調整区域にどんどん家が建っているのでしょう?
高崎市を例にあげると、平成16年4月1日に『市街化調整区域における開発行為の許可の基準に関する条例』(都市計画法34条11号)という高崎市条例が施行されました。市によって条例の施行時期や内容が少しづつ違いますが、近隣の前橋市もほぼ同条件で建築可能です。(この高崎市・前橋市の条例は、全国的に見てもかなり緩い内容になっているようです)
ただ、誰でもどこにでも建てられるわけではありません。
下記は、高崎市役所ホームページの開発申請の運用基準です。
「高崎市市街化調整区域における開発行為の許可の基準に関する条例」の運用基準(PDF形式 64KB)
簡単にご説明すると
- あまり集落から離れていない。
- 白地の農地である(一種農地も不可)*農地には白地と青地があります。市役所農林課で確認できます。
- 敷地が道路に4m以上接している
- 最低敷地面積が250㎡(約75坪)以上である
- 上水の取り出しと浄化槽もしくは下水の排水が可能であること
- 自己の居住のための住宅である
- 自己名義で居住用財産を保有していないこと
主に以上の条件をクリアーする必要があります。
市街化調整区域であればどこでもどんな広さの土地にでも建てられるわけではなく・・・
あまり小さい区画にして住宅がたくさん密集しないように、1件建てるのに250㎡以上にしてね。
周りが畑で、近くに建物が建っていない所にポツンと建てないでね。
市街化区域では道路と敷地が2m以上接していれば建てられるけど、市街化調整区域は4m以上にしてね。
などなどさまざまな決まりがあります。
例えば、実家を相続して自分名義の居住用財産がある人は、調整区域にある土地を購入して家を建てることができません。(賃貸していて住める状態になければ許可になることもあります)
セカンドハウスが欲しいから、広くて安い調整区域に建てよう!という事もできません。
また、店舗併用住宅はできますが(店の大きさの制限があり)事務所はできません。
市街化調整区域の良いところは、①1件250㎡以上の区画なので隣の家と密集しない②市街化区域より田舎なので、広い土地が安く手に入る③土地の評価が市街化区域よりも低いので、固定資産税が安い
といったところでしょうか。
私が不動産会社で働いていた時の契約は、約半分が市街化調整区域だった気がします。
そして、現在高崎市の条例が施工されて15年、高崎市はどのようになったかというと、
市街化区域は土地が高いので市街化調整区域に土地を買って建てよう!
↓
市街地の人口が減り小学校は2クラス作るのがギリギリ
↓
イオンに近い小学校では、新しく住み始める人が増えて、ギリギリ4クラス、数人増えると5クラス
白地の農地しかない佐野エリアは、どんどん家が建ちマンモス校に
というドーナツ化現象が起こっています。
高崎市は、街中にもっとたくさんの人が住んで欲しいという事で、空き家が建っている土地を有効活用できるように、空き家解体助成金に沢山予算を使っています。ここ数年申込者も多数いましたので、たくさんあった空き家も少しは解体されて更地になり再利用されたと思います。予算が付けば来年度もこの助成金制度は続くかもしれません。
宅建協会の新年会でも少し話が出ていましたが、少子化で人口が減っていますので、この先市街化調整区域に家が建てられる状況はそれほど長くは続かないと思います。
すぐに条例を来年から廃止という事にはならないですが、もしかしたらお得に広くて安い市街化調整区域を購入できるのはあと数年なのかもしれません。
kuribara